ダクト工事とは?そもそも必要? シーン別の判断~費用まで徹底解説

2022年08月26日(金)

壁面の内側や天井裏、または屋上などに設置されているダクト。普段見えない箇所にあるため、意識する機会は少ないかも知れません。しかし建物において、排気や排煙を含め、換気など空調を整える上でダクトの果たす役割は非常に大きいものがあります。

例えば住宅ではトイレやキッチンの換気、エアコンと室外機をつなぐ部分にもダクトが使われています。また火災時に備えた排煙用のダクト、工場などに備わる産業用ダクトなど用途によってさまざまなダクトが存在します。さまざまな場所で活躍するダクトの種類や役割、またダクトを取り付けるダクト工事についてご紹介します。

そもそもダクトって?

ダクトとは空気の通り道であり、導管です。建物内の換気や排気、また冷暖房など空調を整える目的で設置されています。空気だけでなく、ガスや水など多くのものが通る管を総称してダクトと呼ばれる場合がほとんどです。ビルなど住宅内にもダクトは不可欠ですし、店舗や工場、また倉庫、商業施設や公共施設までありとあらゆる場所にダクトは必要です。ダクトがあることで空気などの流れができ、温度の調整や衛生上必要な換気、排煙などの役割を果たしてくれるためです

住宅などの小規模な建物と商業施設などではダクトの種類や大きさも異なります。また工場や倉庫などではその用途に適したダクトが配置されなくてはなりません。

ダクトの種類

ダクトは用途や接続する機器によってそれぞれ種類が異なります。またSA、OAなどのようなアルファベットを用いた略称が使用されることもあります。大まかに以下の4つの用途でダクトが用いられています。

1.室内の温度・湿度など空気調和(空調)に用いられるダクト

空調機から建物内へ空気を送り込む給気(SA)ダクトがあります。SAとは、空気を供給するという意味のSupply Airの略称です。対して屋内から空調機へと空気を引き込むダクトはReturn Airという意味の還気(RA)ダクトとなります。空調ダクトは、常に空気の入れ換えが必要になる箇所、食品工場や病院の手術室などで使用されています。

2.外気を取り入れる換気用ダクト

気密性の高い建物において、屋外から外気を空調機に取り込むダクトです。外側Outdoor(Outside)から空気を取り込むダクトで、OAと表記されます。

3.排気用ダクト

空調機を通じ、屋外へ空気を吐き出すダクトを排気用ダクトと言います。屋内から屋外へ空気を掃き出すという意味でEA (Exhaust Air)と略されます。排気ダクトの中でも一般的な建物で使用されるダクト、レストランなどの厨房で煙を排出するダクト(厨房排気)に区分されています。厨房のような高温になるところでは特殊な油分分離装置をつけるなどの施工が必要となるためです。

4.排煙用ダクト

火災などの発生時に、煙を屋外に排出する役割を果たすダクトです。SEA(Smoke Exaust Air)、SM (Smoke)と表記されます。人命を守るために大きな意味を持つダクトとなります。

詳しくは「ダクトに関する用語一覧」をご覧ください。

ダクトの材料

ダクトに用いる材料や素材についても、設置場所や用途によって多岐にわたります。 一般的なオフィスや飲食店などの店舗のダクトでよく使用されるのが、画亜鉛めっき鉄板(亜鉛鉄板)です。鋼板に亜鉛をめっきし、防錆処理が施されている素材です。熱やサビに強く、比較的リーズナブルなため、広くダクトに使用される素材です。

屋外など、より耐熱性が求められるダクトではガルバリウム鋼板を用います。耐用年数が長い素材として知られています。またステンレス鋼板はサビに強く、耐食性が高いため見た目も美しく仕上がります。店舗など、デザイン性を重視する箇所のダクトで使用されます。

ダクトの素材については「ダクトの材料・素材一覧」により詳しく記載しています。

ダクト工事とは?

住居をはじめ、店舗や商業施設、各種工場などさまざまな建物でダクトが大きな役割を担っています。しかしダクトが正常に働いていなければ、空調の維持もままなりません。飲食店や精密機器を扱う工場などより専門的な場所であればなおさらです。

新築時はもちろん、常にダクトのメンテナンスを行う必要があります。もしダクトが老朽化し、その機能が劣化している場合は新たにダクト工事を行うタイミングなのです。

ダクトの素材は金属がほとんどで、金属の特性を熟知している職人に任せなければなりません。その上、建物の内部の配管などにも関わるわけですから、建築物の基礎を知る専門の業者のみダクト工事の施工を行えることになります。

ダクト工事の目的

ダクトは建物内の空調を整えたり、場合によっては汚れや空気や煙などを排出したりするなどの役割を担います。あくまで、ダクトが本来の役割を果たしてこそです。長年の使用により劣化していた場合、排気機能も衰えてしまいます。

排気や換気がうまく行かなければ快適に過ごせないばかりか、作業効率が落ちることにもつながります。特に中古の施設改修やリフォームをする場合は、ダクト工事をあらためて行う必要があると言えるでしょう。

ダクト工事における3つの工法

建物の規模や設置環境、さらにダクトの用途によって工法は異なります。空調、換気、排煙どの目的で使用するのかによってダクトの素材や工法にも影響してきます。また設置する建物が大きければ大きいほど、長いダクトを設置しなければなりません。ダクト同士をつなげて使用しなければならないケースも出てきます。その接続方法によっても工法は異なるのです

ダクト同士をつなげる際、ダクト部材からはみ出すようにしたツバ部分(フランジ)をつくり、ダクト同士を連結させます。この継手、フランジの形状などによって工事の工法も異なります。ダクト工事における代表的な3つの工法についてそれぞれ解説します。

アングルフランジ工法

鉄やステンレスなどで作ったフランジ部分をダクトに取り付けて固定し、ボルトやナットでつなげる工法です。アングルフランジ工法は、取り付けるのに手間がかかりますが、接続の強度や気密性に優れています。安全性が求められる排煙ダクトなどで使用されます。1985年頃までは、アングルフランジ工法が主流となっていました。

共板フランジ工法

共板フランジ工法では、ダクトのフランジ部分の四隅にコーナー金具を取り付け、ボルトで締め付けます。アングルフランジ工法より強度は劣るものの、施工時間の短縮が図れます。また費用もリーズナブルなのが特徴です。現在主流の工法となっています。

スライドオンフランジ工法

共板フランジ工法と同じく、ダクトのフランジ部分の四隅にコーナー金具を取り付ける工法です。共板フランジ工法がダクトの一部分である鉄板(部材)を折り曲げてフランジとするのに対し、薄板を折り曲げた部材(スライドオンフランジ)を差し込んで使います。スライドオンフランジをスポット溶接でダクトにつけます。強度はアングルフランジ工法と共板フランジ工法の中間となります。

ダクト工事をシーン別にご紹介!

ダクトの果たす役割や、工事の重要さについてお伝えしてきました。1970年の創業以来、当社では数多くのダクト工事に携わってきた実績がございます。ビルやマンション、工場や店舗などさまざまな事例に立ち会い、最適なダクト工事をご提案してきております。ここからはシーン別にダクト工事の流れや内容についてお伝えし、どんな時にダクト工事が必要なのかを具体的な事例を挙げてご紹介します。

厨房のダクトから異臭がする

飲食店において香りは命とも言えます。ところがダクトが正常に機能せず、店内に香りがこもるような事態になると食べ物である商品の魅力は薄れてしまいます。また煙や臭いなどで近隣の方とのトラブルが発生すると、お店の評判を落とすことにもなりかねません。お店の信頼を回復するためにも、ダクト周りのメンテナンスは不可欠となります。居抜き物件を購入し、新規開店する場合にもぜひご相談ください。

より詳しい対策は「飲食店の異臭・煙の対処法」をご参考にいただければと思います。

オフィスのダクトから騒音がする

ダクトから音がするのは普通のことです。それ自体は気にする必要はないのですが、あまりに大きな音であればトラブルが発生している可能性もあります。ファンを回すためのファンベルトが摩耗していたり、ファンの軸の部分を支える部品が劣化していたりする事例もあります。加えてダクトそのものが壊れているかもしれません。近隣との騒音トラブルなどになるような異音は、ほとんどの場合何らかの異常の前兆です。ダクトの全交換も含めた対処が必要となります。

当社の対応につきましては「ダクトの騒音がきになる?原因と対処法を解説。」をご覧ください。

ダクト工事にかかる費用

ダクト工事の費用は、一律の金額をお伝えしづらい部分があります。換気や排煙、空調など目的によっても異なる他、建物の規模でも金額が変わってきます。ダクトの種類・素材やパワー、設置条件などでも異なります。またメンテナンスで済む場合と、すべてを交換しなければならないかなど現場を拝見してからでなければご提案が難しい側面もございます。

そのため当社では、無料で現地調査をお引き受けした後、お見積りを承っております
厨房・店舗のダクトでお困りの方や「厨房・店舗ダクト工事」、ビル・マンションのダクトでお困りの方も「ビル・マンションダクト工事」まずは一度ご相談ください。


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