ダクト工事
ダクト工事の種類
ダクトは壁や天井の中など、見えない部分に隠されているため、普段は意識することはないかもしれません。ダクトとは空気や水、ガスが通るための配管の総称ですが、空気を通すものを特に「ダクト」と呼ぶ傾向があります。ダクトの種類は、主に「空調ダクト」「換気ダクト」「排煙ダクト」の3つに分けられます。どれも室内の空気を外部に排出し、快適を保つという主たる働きは同じですが、環境に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。もし、煙やニオイが大量に発生する焼肉店に、オフィス用の排気ダクトを付けてもパワーが足りずニオイがこもり油っぽい環境になってしまうでしょう。快適な空間にはダクトのマッチングが欠かせません。まずは、種類について確認していきましょう。
空調ダクト
空調ダクトとは、冷暖房用の空調機器からの風を循環させることで温度や湿度、清浄度を保つ換気設備です。病院や商業施設、コンサートホールに会社などでよくみられる、私たちの暮らしに密着した空調設備の一種と考えると分かりやすいでしょう。風を送りたい場所に吹き出しファンを設置しますが、空調配管の距離が長い場合には途中に吸い込みファンを設置するなど、現場の状態や希望に合わせて柔軟に対応する必要があります。正常に稼働するだけではなく、メンテナンス作業しやすく効率的な設置場所の確保や、衛生に配慮するなど設計にこだわることは、長く快適な空間を保つポイントとなります。
換気ダクト
最近の住宅は24時間換気機能も当たり前に付いており、料理する際はニオイや油汚れ、湿気がこもらないよう厨房の換気扇を活用する方も多いでしょう。換気ダクトはまさにこの役を担っているダクトであり、室内の空気を外気と入れ替えることができます。換気ダクトという名称ですが吐き出すだけでは空気不足となってしまうため、給気口も設置されます。この際、排出した空気が再度取り込まないよう緻密に設計していくことが大切です。排気することだけに着目せず、空気の流れが弱くなる箇所にはファンを取り付けるなど全体を見通した配管施工が快適な空間の要です。
排煙ダクト
日常の快適を守るだけでなく、”もしも”に備えるのもダクトの大切な役割です。排煙ダクトは、排煙設備。火災警報機が熱などを感知すると、排煙用のファンが動き外部へと排煙を排出します。煙を速やかに排出することで避難するための時間を確保し、消火活動をしやすい環境を守るなど火災が発生した際の強い味方です。つまり、火災の際に煙を排出することに特化した空調設備であり、ダクト内が高圧なことから高圧ダクトと呼ばれることも。一定以上の建築物であれば、消防法によって設置だけでなく想定通り作動するのかなどをチェックする定期点検も義務付けられています。
当社で使用する主なダクト材
家やビルを設計する際は、用途や予算に応じて材料を選びますが、ダクトも同じです。用途や場所に合わせ、適材適所を踏まえた素材選びが求められます。まずは、よく使用されるダクト材を押さえておきましょう。
亜鉛めっき鉄板(亜鉛鉄板)
「亜鉛めっき鋼板」や「溶融亜鉛めっき鋼板」とも呼ばれる「亜鉛鉄板」は、表面を亜鉛めっきで防錆加工している鉄板の全般を指します。亜鉛は腐食されやすい性質がありますが、先に腐食することで鉄の腐食を防ぎます。一般的にはトタンと呼ばれており、安価なため建築資材や車の素材などとしても馴染みのある素材です。
ガルバリウム鋼板
「ガルバリウム鋼板」はアルミニウムと亜鉛にシリコンからなる素材で、「アルミ亜鉛合金めっき鋼板」に分類されます。耐食性や耐熱性に優れ、加工性も良く、亜鉛でめっきされているため犠牲防食機能も期待でき、長耐久性は亜鉛鉄板の3~6倍ともいわれています。また、非常に軽く建物の負担を軽減することも期待されます。
ステンレス鋼板
ステンレス鋼板は、不動態被膜を表面に形成することでサビを予防し、美しさを保つことができるのが特徴です。加工性や耐熱性にも優れており、建築材料や医療機械器具、航空機部品など高い性能を要求される分野でも使われています。また、100%リサイクルできるため、廃棄コストの観点からも優れた素材といえるでしょう。
塩ビ被覆鋼板
その名の通り、塩化ビニル樹脂で金属板をコーティングした樹脂被覆鋼板である「塩ビ被覆鋼板」。耐薬品性があり腐食環境に強く、金属板の劣化を防ぐことができます。さらに、経済性と電気絶縁性も兼ね備えており、住宅の外部素材や船舶の内装、自動販売機など多様な活躍をしています。加工性や強度もよく、使い勝手のいい素材です。