ダクトの点検口とは?重要性を徹底解説
ダクトを設置する際には点検口も設けなければなりません。
条例にも点検口に関して規定がなされているほか、ダクトを安全に、長く使い続けるためにも点検口は必要不可欠です。
この記事ではダクトの点検口の種類や法律上の設置要件、点検口の必要性についてご説明します。
特にこれからダクトの施工を検討されている方は点検口に関してもしっかりと考えておきましょう。
また、ダクト工事全般に関しては「ダクト工事とは?そもそも必要? シーン別の判断~費用まで徹底解説」でも詳しく解説していますので、併せてお読みください。
目次
ダクトの点検口とは?
ダクトの点検口とはその名のとおりダクトの状態を点検するための開口部のことを指します。
ダクトは壁や床、天井の中を通っているため、普段は目にすることができません。
点検口を設ければダクトの状態を確認でき、必要に応じてメンテナンスや修理などが可能となります。
ダクトの点検口には亜鉛メッキやガルバリウム製のアクセスドア(扉)が設置されていて、点検や作業を行う時のみ開放します。
点検口の種類と設置要件
検口には内開型と外開型の2種類があり、ダクトの圧力に応じていずれかを選びます。
ダクトがマイナス圧空調(室内の空気の圧力が外よりも低い状態になる)の場合は外開型、プラス圧空調(室内の空気の圧力が外よりも高い状態になる)の場合は内開型を選択します。
地域によってはダクトの点検口に関するルールが条例で定められています。
たとえば東京都の火災予防条例では厨房設備のダクトの点検口に関して以下のように定められています。
⒞ 条例第3条の2第1項第4号で規定する「清掃ができる構造」とは、次によること。
ただし、次の施工方法と同等と認められる構造等の場合は、これによらないことができる。
㋐ 排気ダクトに点検口を設ける場合
排気ダクトの点検口の位置は、わん曲部(120度以内)の部分及び直線部分に設けることとし、直線部分に設ける場合は、次により設置すること。
ⓐ 円形の排気ダクトの場合は、概ね2mの範囲内で点検口(概ね400㎜×250㎜)を設置すること。
ⓑ 角形の排気ダクトの場合は、次により設置すること。
ⅰ 排気ダクト内に進入して清掃をする場合(概ね500㎜×300㎜以上)
概ね7~8mの範囲内に点検口(概ね450㎜×450㎜)を設け、作業員の荷重に耐えられるよう、支持部は排気ダクト自体の重みに300㎏を加えた重量に耐えられる構造とすること。
ⅱ 排気ダクトの外から清掃する場合概ね2mの範囲内に点検口(概ね400㎜×250㎜)を設けること。
引用:東京消防庁
東京都内で飲食店を開業しダクトを設置する際には、以上のようなルールに従って点検口を設ける必要があります。
なお、事情があって点検口を設けない場合は、別途条例の要件に従わなければなりません。
ダクトの点検口はなぜ必要なのか?
ダクトの点検口もしくはそれに代わる設備を適切に設けないと条例違反になるおそれもあります。
しかし、それ以外にも点検口が必要となる理由はさまざまあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
劣化の早期発見に繋がる
ダクトは使用していると汚れ、特に飲食店の場合は油がよく付着します。
そのまま放置しておくと配管の劣化やダクトの故障、漏水や火災などの事故、建物の損傷など、さまざまな弊害が発生するリスクが高くなるため、定期的な清掃やメンテナンスが必須です。
点検口を設けて定期的にダクトの状態を確認することで、経年劣化や不具合等の早期発見につながり、適切にメンテナンスや修理を行うことで故障や事故などを未然に防ぐことが可能です。
火災防火条例などでダクトの点検口の設置に関するルールが定められているのもダクトの不具合による火災を防ぐという目的が背景にあります。
建物をキレイに安全に保つことができる
そもそも飲食店の厨房のダクトは厨房内の煙や水蒸気、油、臭いや熱気などを外部に排出する役割があります。
もしもダクトがなければ室内に汚れた空気が充満してしまうでしょう。
ダクトが故障した場合や性能が低下した場合も同様です。
厨房から出た煙や臭いが客席にも流れていき、お客様に不快な想いをさせてしまいます。
厨房で働いているスタッフも煙や熱気などで仕事がしづらくなってしまいます。
また、お店の内装に油汚れや煙による変色が発生し、見た目にも、衛生的にも良くありません。
その結果、売上の低下にもつながってしまうおそれがあります。
点検口を設けてしっかりと点検・メンテナンスを行えば、ダクトがしっかりと性能を発揮してくれるため、お客様にとっても、スタッフにとっても快適な空間を提供できるようになります。
ダクトの点検口の設置例
ダクトの点検口の必要性についてはご理解いただけたかと思います。
最後にダクトの点検口を設置する場所について、例も挙げながらご説明します。
飲食店厨房の排気ダクトの点検口の場合
飲食店の場合は基本的に火災予防条例などに従ってダクトの配管の湾曲部もしくは直線部に点検口を設けることになります。
直線部に設ける場合は円形ダクトであれば2m以内の範囲で400mm×250mm程度の点検口を設けます。
角形排気ダクトの場合は作業員が点検口の中に入ることを前提にするのか、点検口の外から点検することを前提にするのかによって異なります。
前者の場合は7〜8mの範囲内に450mm×450mm程度の点検口を設置します。
なお、点検口は作業員の荷重とダクト事態の荷重に耐えられるようにしなければなりません。
事情があって点検口が設けられない場合は、接続部を取り外しが可能な状態にし、かつ接合部の気密性が確保できる構造にする必要があります。
空調の点検口の場合
業務用エアコンなど空調設備の点検口の場合は基本的に設備が天井内にあるため、点検口も天井に設けます。
空調エアコンのよくあるトラブルとして水漏れがあります。
正常な状態であれば、空調を効かせているときに発生するドレン水(熱交換器に付着する水蒸気の結露)が外に排出されますが、何らかの不具合が発生して排出されないとなると、天井から水が落ちて来てしまいます。
また、冷媒ガス漏れもよくあるトラブルの点検例です。
冷媒ガスが漏れると性能が低下してしまいます。
空調設備に関しても天井に点検口を設けておくことで、定期的な点検とメンテナンス・修理が容易になり、不具合を未然に防ぐことができます。
まとめ
ダクトを長く・きれいに使うためには定期的な点検やメンテナンスが必須です。
ダクトが正常に作動していれば、きれいな室内空間が維持でき、お客様や従業員が快適に過ごせるようになります。
逆にダクトに不具合が発生すれば、室内に煙や臭いが充満し、内装が汚れてしまいます。
その結果、売上が減少してしまうことにもなりかねません。
また、火災や事故、建物の損傷など、重大なトラブルが発生するリスクもあります。
ダクトを施工する際には、必ず点検口も設けましょう。
広積空調工業は完全自社施工なので、有資格者による高品質なダクト施工をリーズナブルな価格で実現可能。
お客様のニーズや建物の構造などに合わせた、適切なダクトを設計・製造・施工します。
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