危険です!「ダクトテープ」でダクトを修理しようとしていませんか?
ダクトを修理するならダクトテープ……そんなイメージはありませんか?実はそれは大きな間違いです。ダクトテープはダクトに使うためのものではありません。
ダクトが故障した際に安易に「これなら使えそう」とホームセンターなどで材料を買って間違った方法でダクトを修理するのは非常に危険です。今回の記事で「ダクトテープとはなにか?」を正しく知っておきましょう。
そもそも「ダクトテープ」とは?
ダクトテープの元になるものがあった
ダクトテープの原点は1923年にアメリカの3M社で開発されたマスキングテープです。これをもとにジョンソン&ジョンソンが1940年の第2次世界大戦中に銃弾を入れる箱を湿気から守るためのテープを開発。それがダクトテープと呼ばれるようになり、戦後さまざまな場面に使われるようになりました。
1970年、月着陸船「アポロ13号」で酸素タンクの爆発事故が発生した際には、ダクトテープで空気清浄化装置をつなぎ合わせることで危機を脱したとされています。
特にアメリカではダクトテープが広く認知・普及しており、物が壊れたときにとりあえずダクトテープを使うという人も少なくないようです。
ダクトテープの「ダクト」はいわゆる「ダクト』ではなかった!
ダクトの修理用のテープだからダクトテープと思われている方も多いかと思いますが、実は違います。もともとダクトテープはダッグ(アヒル)の羽のように軽く、撥水性や耐水性があることから「ダックテープ」と呼ばれていました。
その名前から誤った解釈がされている
前述のとおり、ダックテープは戦後さまざまな場面で使われるようになりました。ダクトも修理できるということで、いつの間にか「ダックテープ」が「ダクトテープ」と呼ばれるようになったのです。
その名前のとおり、ダクトの修理に使うためのテープだと思われがちですが、実は必ずしもダクト修理に適しているとは限りません。ネーミングに惑わされないよう注意しましょう。
ダクトの修理に「ダクトテープ」は使いません!
プロの施工で使うテープは、実はダクトテープではない
私たちのようなダクト修理のプロはダクトテープを使いません。日本の気候は寒暖の差が激しく、気温の変化が大きいです。そのため、ダクトを含めた配管工事には、温度の変化に強い「アルミテープ」を使うのが一般的です。
なお、日本では「ダクトテープ=アルミテープ」という認識がされがちですが、アルミテープとダクトテープはまったくの別物です。
ダクトテープの特徴
ダクトテープは粘着テープの一種です。前述のとおり、もともとはマスキングテープや防湿テープとして使われていましたが、戦後になってさまざまな用途に使われるようになりました。
表面はポリエチレンがコーティングされていて、粘着面には天然ゴム化合物が用いられています。また強度を高めるため、芯に綾織のコットンが入っています。
粘着力が高い
ダクトテープは一般的な粘着テープと比較して非常に粘着力が高く、強度も優れているため、ありとあらゆる物の補修・修理に使えます。それでいてハサミがなくても手で切れるため、非常に使い勝手が良いです。
防水性が高い
表面にコーティングされているポリエチレンはバケツや容器、レジ袋などの材料として使われている樹脂素材であり、水に非常に強いです。水に濡れるような場所でも使用することができます。
湿気に強い
防水性が高いため湿気にも強く、湿度が高い場所であっても剥がれやテープの劣化、ひび割れなどが起こりにくいです。湿度が高い日本でも使いやすいテープといえます。
こんな時に使えます
ホース類の補強
ダクトテープは水や湿気に非常に強いため、少し濡れたくらいでは剥がれません。ホースの補強や固定、水漏れ防止、あるいは破損したときの応急処置に使えます。
車の故障の応急処置
ダクトテープは非常に強力で屋外での使用にも適しています。たとえば車で事故をした際にヘッドライトのカバーやバンパー、サイドミラーなどの部品が破損してしまった場合に、それらを固定しておくための応急処置にも使えます。
窓ガラスの補強や応急処置 などに
やはり粘着力が高く、水にも強いので窓ガラスにも最適です。台風が来た際にダクトテープで補強すれば、割れて破片が飛び散るのを防ぐことができます。また、窓ガラスにひびや傷が入ってしまった際の応急処置にも使えます。
アルミテープの特徴
アルミテープとはその名の通りアルミニウムを使ったテープのことを指します。アルミは金属なので強度が高くて熱にも強く、それでいて錆びにくいという特徴があるため、アルミテープもアルミの長所を持ち合わせています。
アルミ箔の片面に粘着剤を塗布したアルミ箔テープ、アルミ箔とガラスクロス材を貼り合わせたアルミ・ガラスクロステープ、アルミ箔を上質紙に貼り合わせたアルミクラフトテープといった種類があります。
劣化しにくい
一般的な粘着テープは紫外線や水、空気が内部に侵入してしまいます。そのため、時間が経過すると粘着剤が劣化して剥がれてしまう可能性があります。アルミ箔を使ったアルミテープなら紫外線や水、空気が通ることがないので劣化しにくいです。
耐熱性が高い
アルミは200℃~300℃程度の熱に耐えられる金属であり、アルミテープも耐熱性に優れています。また、熱反射率も高いため、内部に熱を伝えにくいという特性もあり、高温になる場所でも使えます。
耐湿性が高い
前述のとおりアルミテープは水を通さないため、耐湿性にも非常に優れています。また、アルミは金属ではありますが錆びにくい性質があるため、水に濡れても劣化しにくいです。
こんな時に使えます
空調ダクトのシーリングや接合
空調ダクトをつなぎ合わせる場合、目地(継ぎ目)ができます。目地を埋めるため、あるいは接合部を補強するためにアルミテープを使うことがあります。
熱源近くでの金属部材の目地シール
一般的な粘着テープやダクトテープは熱によって劣化したり剥がれてしまったりするおそれがあります。アルミテープは高温になる箇所に用いる金属部材の目地埋めや補強にも使うことができます。
水周りや屋外用の工事・補修材 などに
アルミテープは紫外線や水、空気によるダメージを受けにくく、強度や粘着力も非常に高いため、水周りや屋外で行う工事の部材や補修材としても活用されています。
危険!ダクトテープでダクトを直してはいけない理由
ダクトテープで直しておこうと思っていませんか?
今はホームセンターやネット通販で何でも手に入ります。また、ちょっと検索すればいろんな情報を入手することが可能です。換気扇やダクトが故障したときに自分で直そうと思われている方もいらっしゃるかと思いますが、やはり慣れていない方が修理すると危険なこともあります。場合によっては事故につながるかもしれません。
ここからはダクトテープでダクトを直してはいけない理由について見てきましょう。
こんなに危険①火災の元になる
ダクトで正常に熱気や気化した油が外部に排出されないと火災が発生するおそれがあります。ダクトテープは耐水性が高いですが、それでも事故が発生する危険性は十分にあるのです。特に日本は寒暖差が激しいので、知らないうちに劣化が進んでいることもあります。
2007年7月には洋上採油プラットフォームで火災が起こって作業員が負傷した事故が発生しました。メタノールを送るホースをダクトテープで補修していたことが原因だったそうです。
こんなに危険②剥離の可能性もある
ダクトテープは非常に粘着力が高いですが、それでも剥がれてしまうことはあります。特に温度差がある箇所で使用する場合は注意が必要です。
1998年、アメリカのローレンス・バークレー国立研究所が行った実験によると、他のテープでは剥離しなかった温度差でも、ダクトテープでは剥離してしまったという実証結果が出ています。
こんなに危険③糊残りしてしまうかも
ダクトテープは強粘着の割に剥がれやすい特性がありますが、剥離した場所にテープの糊が残ってしまうことがあります。
糊残りが発生すると見た目が悪くなってしまうのはもちろん、その上からテープを貼った際に粘着力が弱まってしまうというデメリットもあります。
ダクトの修理、プロに頼むのが正解です!
安易に自分で修理すると思わぬ危険を招くことも
ダクトや換気扇を、ダクトテープを使って自己流で修理するのは絶対にやめてください。テープが剥がれることで事故や火災が発生して大惨事につながるおそれがあります。先ほどもご説明したとおり、実際にダクトテープを使って応急処置をしたことでトラブルが発生した事例も多々あります。
一般のご家庭はもちろんですが、店舗やビルならなおさらです。多くの人が事故や火災に巻き込まれ、生命や財産が危険にさらされるおそれがあります。
悩んだら、早めにプロに相談を
ダクトや換気扇が故障した場合はプロに相談してみましょう。使う材料も技術も違うから、専門業者に任せるのが一番です。仮に自己流で修理して失敗してしまえば、もう一度作業をし直さなければなりません。最初からプロに任せれば、期間も費用も抑えることができます。もちろん、事故や火災の心配も最小限です。
広積空調工業はダクト・換気扇のプロです。「故障したからすぐに来てほしい」といった緊急対応もいたします。自社の国家資格取得者が施工するため、高品質・短納期・低コストです。東京、千葉、埼玉、茨城でダクト・換気扇の修理や補修なら、私たちにおまかせください。
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