排煙ダクトは必要?役割と重要性をわかりやすく解説

2024年08月16日(金)

火災はいつ、どんな原因で起こるかわかりません。いざというときに備えて、店舗やビルなどある程度の規模以上の建物には排煙ダクトの設置が義務付けられています。

この記事では排煙ダクトとはどのようなものなのか?といった基本から、排煙ダクトの設置基準、設置方法について解説します。ビルや商業施設、店舗などの所有者や管理者の方は改めてチェックしてみましょう。

排煙ダクトとは?

排煙ダクトとは火災が発生した際に建物の外に煙を排出するために設置するダクトのことです。火災時には大量の煙や有毒ガスが発生しますが、これが人命に大きな危険を及ぼします。火災で亡くなる原因で火傷の次に多いのは一酸化炭素中毒や窒息です。有毒ガスを吸い込んで、あるいは酸素が少なくなって亡くなってしまわれる方が非常に多いのです。

また、煙が充満すると視界が遮られ避難が遅れてしまいます。火災の死者数の半数が逃げ遅れたために亡くなってしまったという統計データもあります。

排煙ダクトが設置されていて火災時に作動すれば、人体に危険を及ぼす煙や有毒ガスが排出されて視界も確保でき、生存できる可能性も高まります

排煙ダクト・排気ダクトの違い

排気ダクトと排煙ダクト。一文字違いですが、役割や仕組みには大きな違いがあります。
排気ダクトとは室内の汚れた空気や臭いを排出するためのダクトです。主に飲食店の厨房に設置され、調理に伴って出る煙や水蒸気、油、臭い、熱気などを店舗の外に排出します。

排気ダクトを設置する目的は快適な室内環境の維持です。汚れた空気を室内に排出することでお客様が煙や臭いを気にせず食事できるようになり、従業員も働けるようになるのです。なお、排気ダクトについては室内の空気を排出するだけで、外からの空気を取り込む機能はありません。

排煙ダクトとは前述のとおり火災によって発生した煙や有毒ガスを排出するためのダクトです。飲食店などの店舗はもちろん、ビルや商業施設など、ある程度の規模以上の建物には設置が義務付けられています。

排煙ダクトは火災時の安全確保を目的として設置されるため、火災が発生したときのみ作動します。また、窒息や有毒ガスによる中毒を防ぐため、外部から空気を取り込む給気機能もついています

排煙設備の設置基準と種類

多くの人が利用する一定の規模以上の建物には排煙ダクトをはじめとした排煙設備の設置が義務付けられています。ここからは設置すべき排煙設備の設置基準と種類についてご紹介します。

排煙設備の設置基準をチェック!

排煙設備の設置義務については建築基準法第126条の2で定められており、以下のような建物は排煙設備を設置しなければなりません。

  • ・床面積500㎡を超える特殊建築物※
  • ・床面積500㎡を超える3階建て以上の建築物
  • ・排煙に有効な開口部の面積の合計が床面積の1/50以下の居室
  • ・床面積が1,000㎡を超える建築物で床面積が200㎡超の居室

特殊建築物とは集会場や公会堂、劇場、映画館、病院、診療所、ホテル、旅館、学校、体育館、児童福祉施設、図書館、ボーリング場、百貨店、マーケット、飲食店、キャバレー、ナイトクラブなど、大勢の人が利用する建物のことを指します。

なお、以下の条件に当てはまる建物に関しては排煙設備の設置義務が免除されます。

  • ・高さ31m以下で、100㎡以内ごとに防煙壁や防炎垂れ壁などで区画されている建築物
  • ・100㎡以内に準耐火構造の壁で区画されている児童福祉施設や宿泊施設等
  • ・学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場など
  • ・階段や昇降機の昇降路の部分
  • ・火災の発生のおそれが少ない構造や主要構造部が不燃材で造られている工場や倉庫
  • ・住宅や長屋の住戸
  • ・不燃性ガス消火設備や粉末消火設備を備えた車庫や危険物の貯蔵庫、通信機械室など

たとえば床面積が500㎡であっても住宅に該当するマンションやアパートなどは防煙設備を設置しなくてもよいということになります。

2種類の排煙設備

設置が必要となる防煙設備の種類は「自然排煙設備」「機械排煙設備」の2種類があります。自然排煙設備とは動力を使わず排煙する設備のことで、排煙窓が挙げられます。熱い空気は上昇する性質があるため、高い場所に排煙設備を設置することで外に煙を排出することが可能です。自然排煙設備は停電した際でも作動させることができます。

床面積500㎡以下の防火区画部分で設置しなければならず、高さは天井から80cm以内の箇所に設ける必要があります

機械排煙設備は機械の力を使って煙を排出する設備のことを指し、今回のテーマとなっている排煙ダクトもこれに該当します。動力が必要となりますが、強力に煙や有毒ガスを排出することが可能です。また、停電時にも作動するよう予備電源の設置も必要となります。

防火区画部分が床面積500㎡を超える場合、機械排煙設備を設置することが義務付けられています

排煙ダクトの設置方法

排煙ダクトを設置する方法としては、大きく「壁面にダクトを通す」「天井に換気扇を設置する」「屋上までダクトを通す」という3つの方法があります。

壁の中にダクトを通すという方法は、ダクトを設置する方法としてはもっとも一般的で、比較的低コストで施工可能です

天井に穴が開けられるのであれば天井にダクトを設置するという方法もあります。特に厨房やトイレなどで用いられる手法です

5階以上の高層階では室外機を屋上に設置し、そこまでダクトを引っ張るのが一般的です。上記の施工方法と比較するとコストはどうしても高くなってしまいますが、高層ビルではやむを得ません

どの方法を採用するかは設置場所や建物の構造などによって判断が必要となるので、施工業者に相談してみましょう。

排煙ダクトは命を守るための重要な設備

排煙ダクトは日常的には使わない設備なので、施工やメンテナンスのコストや手間が無駄に思われるかもしれません。しかし、いざ火災が発生したときにご自身を含め建物の利用者の命を守る重要な設備です。

火災が発生したときに逃げ遅れてしまう、煙や有毒ガスを吸い込んでしまうことで亡くなられた方が多くいらっしゃいます。排煙ダクトが適切に作動すれば、人命が助かる可能性が高くなるはずです。

まとめ

排煙ダクトは火災から人々の命を守る重要な設備です。それだけに、例外はあるものの一定の規模を超える建築物には建築基準法によって設置が義務付けられています。特に大規模なビルや商業施設、店舗では排煙能力が高い排煙ダクトは必須となりますので、ぜひチェックしてみましょう。また、建物の構造などによって設置方法や施工コストが変わってきますので、一度施工業者に相談されることをおすすめします。

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